LEDを光センサとして使う
LEDを光センサにして使うなんて、、、と思うかもしれませんが実は出来ちゃうんです!
光センサといってもフォトレジスタ(CDSセル)のように光を当てることにより抵抗値が変わるわけではありません。LEDに光を当てることによって発生する起電力をセンサとして使用することが出来るんですね。
かくいう私も最近知ったばかりで、この小ネタを試してみたいという事で記事にした次第です。
という事でLEDセンサの紹介と実践という事で、本記事の最終目的はLEDを光センサとしてトランジスタを駆動させてLEDを光らせていきたいと思います。完全アナログ回路です!マイコンは使用しません
LED(Light Emission Diode)のおさらい
LEDとは、P型半導体(正孔が多数キャリア)とN型半導体(電子が多数キャリア)が接合したPN接合の半導体です。構造的には一般的な整流ダイオードと同じですが、順方向電圧(Vf)が大きいのが特徴です。
赤色LED | 緑色LED | 青色LED | |
順方向電圧(Vf) 【V】 | ~1.4 | ~2.1 | ~3.5 |
LEDが発光する原理は順方向に電圧が印加されるとPN接合近辺で正孔と電子の再結合が起こりエネルギーが発生します。再結合時のエネルギーは正孔と電子がもともと持っていたエネルギーよりも小さくなるので、余ったエネルギーが光となり放出されるわけですね。
逆にLEDに光を当てると、光エネルギーにより正孔と電子が分離して起電力が発生します。
この起電力はLEDの色により違いがあり、後述の実験で確認してみたいと思います。
LED光センサを使ってみる
LED光起電力の確認
では、実際にLEDに光を当てて起電力を確認してみましょう。
使用するLEDは高輝度タイプの【赤】【緑】【青】の三種類で実験してみます。
やり方は単純でLEDに光を当ててアノードにテスターのプラス端子、カソードにテスターのマイナス端子を付けて電圧を測定します。
■ 赤色LED:1.430V
■ 緑色LED:0.8V
■ 青色LED:0.386V
起電力の大きい順に 赤>緑>青となりました。なんとなくバンドギャップが小さいと光を当てた時の起電力は大きくなりそうな気がしますね。
という事で、以降の実験では赤色LEDの使用を前提で進めていきます。
LEDをトランジスタの駆動電源に使用する
LEDに光を当てると起電力が発生することが分かったところで、LEDをトランジスタのゲート電圧として別のLEDを駆動してみたいと思います。なお、駆動に使用するトランジスタは2N3904(NPN)を使用しました。増幅率は30〜300です。ちなみにピン配置はエクボ(エミッタ,コレクタ,ベース)ではなくエボク(エミッタ,ベース,コレクタ)です。
【回路図】
【テスト動画】
うーん、ゲート電流が弱いですね。ライトを被せるようにして当ててあげないと反応しません。でも、ライトを当てることでトランジスタが駆動できていることが確認できました。
せっかくなので、もう少しゲート電流を増幅させてLEDセンサ感度を上げてみましょう。
ダーリントン回路でゲート電流を増幅させる
ゲート電流を増幅させる方法にトランジスタを2石使用するダーリントン回路というものがあります。回路構成は以下の通りでコレクタを共通化させて、一段目のエミッタを二段目のゲートに接続させる感じです。
これにより2段目のゲートには一段目で増幅されたエミッタ電流が流れ込むので2段目のコレクタ電流はhfe(一段目)×hfe(二段目)となります。
ちなみにトランジスタを2段にしているので、その分Vbeを上げる必要があります(2Vくらい)のでご注意ください。
【回路図】
【テスト動画】
いい感じに反応していますね。ペンライトをゆすって微妙な光の揺らぎを与えても追従して光っているのが分かります。ここまで反応が良ければ電子工作レベルのセンサであれば実用可能でしょう。
おわりに
いかがだったでしょうか、今回はLEDを光起電力タイプのセンサとして使用しました。
1石の増幅ではパワーが出ませんが、ダーリントン接続をすることでちゃんと光センサとして電流制御が出来ることが分かりました。
今回は光をあててトランジスタで電流を増幅しただけですが、マイコンやオペアンプを使用することでさらに光センサとしての用途が広がりそうです(暗くなったら他のLEDを光らせるなど)。
時間があったらここら辺も掘り下げられたらと思います。
では今日はこんなところでした。ばいばい。
【本記事で使用したデジタルテスター】
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