発信周波数からインダクタンスを逆算する測定回路を作る

組み込み基礎

発信周波数からインダクタンスを逆算する

こんにちは、くろべこです。

みなさんはLCメーターをお持ちでしょうか?私は持っていません。

先日、部品箱を整理していたらコイルが出てきました。パッケージも印字もない裸のコイルだったのでインダクタンスを知るすべが無いので捨てようかなと思ったのですが、せっかくなので簡易的な測定回路を作成してインダクタンスを計ろうと思い本記事を書いております。

手元にLCメーターをお持ちの方は参考程度に見て頂ければ幸いです。

本記事でのポイント!!

  • インダクタンスの測定手法
  • LTSpice(回路シュミュレータ)での周波数測定方法

インダクタンスの測定方法

さて、インダクタンスの測定方法は何パターンかあります。

  1. VI法
  2. 電力計法

ちょっとだけ解説しますね。

VI法とは交流電圧源とコイルと抵抗の直列回路を構成します。

コイルがあることで無効電力が加わり、電流が電圧に対してφの位相差で遅れます。以下にLTSpiceで再現した波形を載せます。

※クリックすると大きくなります

  • 正弦交流電源の電流:i=Isin(ωt)
  • 抵抗R1の両端電圧:Vr=R1Isin(ωt)
  • 合成インピーダンス:Z = √(R1^2 + (ωL)^2)
  • 電圧の関係式:V^2 = Vr^2 + Vl^2

上記の関係からインダクタンスを求めると

L = √(V^2 – (RI)^2) / ωI

となります。

この式を基に、R(R1の抵抗値), f(交流電源の周波数), I(回路電流)をそれぞれ計測器により求めればインダクタンスを求めることが可能です。

電力計法とは電力計を使用して有効電力と無効電力の関係からインダクタンスを求めます。

  • 抵抗が消費する電力(有効電力):P = R × I^2
  • コイルが消費する電力(無効電力):Q = (ωL) × I^2

上記の2式よりLが求まります。

本記事では、交流電源、電流計、電力計、もちろんLCメーターも持っていない事を前提として違った手法でインダクタンスを求めます。

その手法は、【発振周波数から逆算してインダクタンスを求める】です!!

そこで使用する回路はクラップ発振回路というものを使用します。

クラップ発振回路とは(Wiki引用)クラップ発振回路は発振回路の一種で、トランジスタと正帰還回路から構成される。回路は1つのインダクタと3つのキャパシタから成り、うち2つのキャパシタ (C1, C2) は分圧器を構成し、トランジスタへの入力へ加えるフィードバック電圧を決定している。クラップ発振回路はコルピッツ発振回路のインダクタ (L) にキャパシタ (C0) を直列に追加したものである。

クラップ発信回路よりインダクタンスを求める

クラップ発信回路をインダクタンス測定用に使うという事ですが、どのように使うかというと発振周波数の式から逆算しようと思います。クラップ発信回路の基本式は以下の通りです。

ここで、致命的な壁が出てきました、、、

このやり方では発振周波数を測定する必要があり、オシロスコープや周波数測定器を持っていることが前提となります。

実は、私はそのどちらも持っていません、、、

ぐだぐだで申し訳ないのですが、今回はLTSpiceのシュミュレータを使用してやり方の紹介とさせてください。。。

気を取り直して測定回路です。

ここのL1の部分に測定対象のコイルを挿入します。

で、実際は測定機器で周波数を計りますが、今回はシュミュレーションです(回路図のOUTの波形を載せています)。

グラフのように正弦波の発振が確認できます。ここでの発振の周期は3.64542 × 10^-5でした。周波数に直すと27431Hzです。この周波数を基にインダクタンスを逆算すると、、、

結果:1.01mH

でした。シュミュレーションなのでほぼ同じ値に測定できましたが、実際のコイルは許容値が±10%程あるのでもう少しばらつくはずですね。

おわりに

今回は、インダクタンスを測定する手法を紹介しました。

記事ではシュミュレーションによる計算だったので実際の値からほとんどずれることなく測定できましたが、実物はコイルの抵抗成分や回路のコンデンサ成分が入ってくるのでもうちょっとずれると思いますが、ある程度は計測可能だと思います。

もしオシロスコープを買ったら実際に試してみようかな、、、

では今回はこんなところで失礼します。

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